インプラント治療は腎臓病、肝臓病でも可能ですか?
2025年03月22日 [インプラント]
インプラント治療は腎臓病、肝臓病でも可能ですか?
こんにちは、練馬区大泉学園のエールデンタルクリニックです。今回は「インプラント治療は腎臓病や肝臓病があっても受けられるのか」という疑問にお答えします。結論から申し上げますと、腎臓病や肝臓病の患者さんでも、症状の程度や全身状態に応じて、適切な医療管理のもとでインプラント治療を受けられる可能性があります。ただし、個々の病状によって注意点や対応が異なりますので、それについて詳しく解説させていただきます。
腎臓病・肝臓病とインプラント治療の関係
腎臓病や肝臓病は、全身の健康に大きく影響する重要な疾患です。厚生労働省の調査によると、日本では成人の約8人に1人が慢性腎臓病に罹患しており、肝臓病も高齢化社会の進行とともに増加傾向にあります。
こうした内科的疾患をお持ちの方々にとって、「インプラント治療を安全に受けられるのか」という事は重要な関心事です。インプラント治療は外科的処置を伴うため、これらの患者さんでは出血や感染のリスク、薬剤の代謝等の問題が存在します。
しかし、現代の歯科医療技術の進歩により、腎臓病や肝臓病を有する多くの患者さんにおいても、安全にインプラント治療を受けることが可能になってきました。
インプラント治療前の術前評価
腎臓病や肝臓病がある場合、インプラント治療を検討する際には、詳細な医療データとなります。
歯科医師は血液検査などのデータをもとに、歯科医師はインプラント治療のリスクとベネフィットを評価し、必要に応じて治療計画を調整します。場合によっては、かかりつけの内科医や専門医との連携のもと、追加検査や投薬調整を行うこともあります。
腎臓病を有する患者さんに対するインプラント治療上での配慮
当クリニックでは、軽度から中等度の腎臓病の患者さんに対してはインプラント治療を行いますが、高度の肝臓病や透析を行っている患者さんに対しましては行っておりません。
治療を行う際には医科と連携し下記のようなことに配慮し、慎重に行います。
1. 感染リスクへの対応
腎臓病、特に進行した慢性腎臓病や透析患者さんは、免疫機能が低下していることが多く、感染症のリスクが高まります。インプラント治療は外科的処置を伴うため、術前・術中・術後を通じて徹底した感染予防策が重要になります。
当院では、厳格な滅菌・消毒プロトコルに加え、必要に応じて予防的抗菌薬の投与を行っています。また、手術時間を短縮するための精密な治療計画と、熟練した技術による処置で、感染リスクの最小化に努めています。
2. 出血傾向への対応
進行した腎臓病の患者さんでは、血小板機能の低下や凝固因子の異常により、出血傾向が認められることがあります。透析患者さんでは、抗凝固薬(ヘパリンなど)が使用されるため高い出血リスクがあります。
当クリニックでは、透析患者さんの場合、透析病院に照会を行い、インプラント治療が可能と判断された場合のみ治療を行います。
その際には、透析翌日など最も出血傾向が少ない時期に治療を計画するとともに、局所止血剤の使用や縫合技術の工夫により、出血リスクをコントロールします。
3. 薬剤選択と投与量の調整
腎臓は多くの薬剤の排泄に関わる重要な臓器です。腎機能が低下している場合、通常量の薬剤投与が過剰となり、副作用を引き起こす可能性があります。
インプラント治療において使用する抗菌薬や鎮痛薬などは、腎機能に応じて種類や投与量を慎重に選択・調整します。例えば、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は腎機能を悪化させる可能性があるため、他の鎮痛薬を選択することがあります。
また、腎移植後の患者さんでは、免疫抑制剤の使用状況や拒絶反応の有無などを考慮した治療計画を立案します。
肝臓病を有する患者さんに対するインプラント治療上での配慮
当クリニックでは、軽度から中等度の肝臓病の患者さんに対しては治療を行いますが、高度の肝臓病や肝硬変の患者さんに対しては行っておりません。
治療する際には、医科と連携し、下記のようなことに配慮し行います。
1. 凝固機能障害への対応
肝臓は多くの凝固因子を産生する臓器であり、肝機能が低下すると出血傾向が現れることがあります。
当院では、術前に凝固能検査(PT、INRなど)を確認し、必要に応じて以下のような対策を講じます。
- 局所止血剤の使用
- 縫合法の工夫
- 小分割での治療
2. 薬物代謝の変化への対応
肝臓は薬物代謝の中心的な臓器です。肝機能障害がある場合、薬物の代謝が遅延し、通常の投与量でも副作用が出やすくなることがあります。
インプラント治療で使用する麻酔薬や鎮痛薬、抗菌薬などは、肝機能の状態に応じて慎重に選択します。例えば、肝代謝の負担が少ない薬剤を選んだり、投与量を調整したりといった対応を行います。
3. 感染リスクへの配慮
肝疾患の患者さんでは、免疫機能の低下により感染リスクが高まることがあります。また、ウイルス性肝炎(B型、C型)の患者さんでは、院内感染防止に対する特別な配慮も必要となります。
当クリニックでは、徹底した感染対策を行うとともに、必要に応じて予防的抗菌薬の投与を行います。また、ウイルス性肝炎の患者さんの診療においては、スタンダードプレコーションに加えて、特別な感染対策を講じています。
4. 栄養状態と創傷治癒
肝臓病が進行すると、タンパク質合成能の低下から栄養障害が起こることがあります。栄養状態の悪化は創傷治癒の遅延につながり、インプラントの骨結合(オッセオインテグレーション)にも影響を与える可能性があります。
このような場合、インプラント治療は不適となりますので、術前に医療連携にてスクリーニングを行います。
医科歯科連携の重要性
腎臓病や肝臓病などの全身疾患をお持ちの患者さんのインプラント治療においては、かかりつけの内科医や専門医との連携が非常に重要です。当院では、以下のような医科歯科連携を実践しています。
1. 治療前の医療情報の共有
インプラント治療を検討する際には、患者さんの同意のもと、かかりつけ医から診療情報提供書を取り寄せ、現在の病状や治療状況を正確に把握します。また、必要に応じて歯科からも治療計画を医科に伝え、助言を求めることがあります。
2. 治療計画の共同立案
複雑なケースでは、内科医と歯科医師が共同で治療計画を立案することがあります。例えば、薬剤の一時中止や調整が必要な場合や、治療のタイミングについて専門的な判断が必要な場合などです。
3. 緊急時の対応体制
万が一の状況に備えて、緊急時の連絡体制や対応手順を事前に確認しておくことも重要です。当クリニックでは、麻酔専門医医師との連携体制を整えており、迅速な対応が可能です。
4. 継続的な情報共有
治療後も定期的に治療経過を内科医に報告し、全身状態の変化に応じて歯科治療やメインテナンスの計画を調整することがあります。この継続的な連携により、長期的な安全性と治療成績の向上を目指しています。
当院での対応
当クリニックでは、腎臓病や肝臓病をお持ちの患者さんのインプラント治療に際して、以下のような対応を行っています。
1. 詳細な問診と医療情報の収集
初診時には、持病の種類や程度、服用中のお薬、これまでの治療経過などについて詳しくお伺いします。また、必要に応じて血液検査結果の提供をお願いするなど、正確な医療情報の収集に努めています。
2. リスク評価に基づく個別治療計画
収集した情報をもとに、患者さん一人ひとりのリスク評価を行い、安全性を最優先した治療計画を立案します。場合によっては、通常のインプラント治療とは異なるアプローチや、追加的な安全対策を講じることもあります。
3. 低侵襲治療の実践
腎臓病や肝臓病の患者さんには、体への負担を最小限に抑えた低侵襲な治療を心がけています。例えば、必要最小限の切開で行うフラップレス手術も可能です。
4. 徹底した感染対策
院内感染対策の基本を徹底するとともに、免疫機能が低下している患者さんには特に慎重な対応を行っています。最新の滅菌機器や使い捨て器材の使用、清潔な手術環境の整備など、多層的な感染予防策を講じています。
まとめ:安全なインプラント治療のために
腎臓病や肝臓病があっても、病気の程度によっては、適切な医療管理のもとでインプラント治療を受けられる可能性はあります。インプラント治療により摂食機能の改善ひいては栄養状態の改善が図られることにより、全身状態の改善にもつながる可能性があります。
安全なインプラント治療を受けるためには、以下のポイントが重要です。
- 疾患について担当医に正確に伝える: 持病の状態、服用中のお薬、過去の治療歴などを歯科医師に詳しく伝えましょう。
- かかりつけ医との連携に協力する: 診療情報提供書のやり取りなど、医科歯科連携にご協力ください。
- 定期的な健康管理を継続する: 腎機能や肝機能の安定は、安全な歯科治療の基盤となります。
- 治療前後の注意事項を守る: 服薬スケジュールや生活上の注意点など、指示を守ることで合併症リスクを減らせます。
- 異変を感じたら早めに連絡する: 術後に気になる症状があれば、早めにご連絡ください。
当院では、腎臓病や肝臓病をお持ちの方でも、安心してインプラント治療を受けていただけるよう、麻酔専門医、医科との緊密な連携のもと、万全の体制で対応しています。
インプラント治療をご検討の際には、まずはお気軽にご相談ください。個々の状態に合わせた最適な治療プランをご提案いたします。
練馬区大泉学園エールデンタルクリニックでは経験豊富なインプラント認定医によるインプラント、オールオン4無料相談、無料メール相談を行っております。ご希望の方は、以下よりお申し込みください。

