骨形成促進薬(テリパラチド製剤)とインプラント治療:骨粗鬆症患者様への適切な治療アプローチ
2025年08月16日 [インプラント]
骨形成促進薬(テリパラチド製剤)とインプラント治療:骨粗鬆症患者様への適切な治療アプローチ
練馬区大泉学園のエールデンタルクリニックです。近年、骨粗鬆症の治療を受けながらインプラント治療を希望される患者様が増えています。特に「テリボンという注射をしているけれど、インプラント治療は受けられるの?」という質問を多くいただきます。今回は、骨形成促進薬(テリパラチド製剤)を中心に、骨粗鬆症治療薬とインプラント治療の関係について、最新の知見を踏まえて分かりやすく解説いたします。
骨形成促進薬(テリパラチド製剤)とは
骨形成促進薬は、骨粗鬆症治療薬の中でも特別な位置づけにある薬剤です。代表的な薬剤がテリパラチド製剤で、商品名としてテリボン、フォルテオがあります。
テリパラチド製剤の特徴
テリパラチド製剤は副甲状腺ホルモン(PTH)製剤とも呼ばれ、骨芽細胞を活性化させて新しい骨を作る働きを促進します。テリボンは週1回または週2回の皮下注射、フォルテオは毎日の皮下注射で投与されます。
この薬剤の特徴は、他の多くの骨粗鬆症治療薬とは異なる働き方をすることです。多くの骨粗鬆症治療薬が骨の破壊を抑える「守り」の薬であるのに対し、テリパラチド製剤は骨を積極的に作る「攻め」の薬といえます。
重症骨粗鬆症の患者様に使用され、骨密度を改善する効果があります。使用期間は生涯で24ヶ月間という制限がありますが、これは薬の特性によるものです。
骨粗鬆症治療薬の分類と薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)について
骨粗鬆症治療薬を理解する上で、薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)について知っておくことは大切です。
骨吸収抑制薬とMRONJ
骨吸収抑制薬には、ビスホスホネート製剤とデノスマブがあります。これらの薬剤は破骨細胞の働きを抑えることで骨が壊れるのを防ぎます。同時に骨の代謝回転を低下させるため、まれにMRONJという合併症が起こることが知られています。
ビスホスホネート製剤には、経口薬としてアレンドロン酸(ボナロン、フォサマック)、リセドロン酸(アクトネル、ベネット)などがあります。注射薬としてはゾレドロン酸(リクラスト)、イバンドロン酸(ボンビバ)があります。これらの薬剤は骨に長期間残存する特徴があります。
テリパラチド製剤の特徴
テリパラチド製剤は骨形成促進薬であり、骨の代謝回転を促進します。これは骨吸収抑制薬とは異なる働き方です。骨の代謝回転を抑制しないため、理論的にはビスホスホネート製剤で懸念されるような問題は起こりにくいと考えられています。
2023年版ポジションペーパーの最新指針
日本口腔外科学会から2023年に発表された「薬剤関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023」では、実践的な指針が示されました。
主要なポイント
このポジションペーパーでは、以下の重要な指針が示されています:
低用量(経口)ビスホスホネート製剤については、休薬せずに歯科治療を行うことが推奨されています。これは、短期休薬の効果が限定的で、むしろ骨粗鬆症の管理を優先すべきという考えに基づいています。
高用量(注射)ビスホスホネート製剤(主にがん治療で使用)では、インプラントなどの侵襲的外科治療は慎重に検討する必要があります。
デノスマブ(プラリア)については、最終投与から4ヶ月後に外科治療を行うという具体的な指針が示されています。
テリパラチド製剤について
このポジションペーパーにおいて、テリパラチド製剤は主要なリスク薬剤としては扱われていません。これは、骨形成促進という作用機序の違いによるものです。ただし、インプラント治療における詳細なデータはまだ蓄積段階にあるため、個別の評価が大切です。
テリパラチド製剤使用中のインプラント治療
練馬区大泉学園のエールデンタルクリニックでは、テリパラチド製剤を使用中の患者様のインプラント治療について、適切な対応を心がけています。
インプラント治療を検討する際のポイント
テリパラチド製剤は骨の代謝回転を抑制する薬剤ではないため、ビスホスホネート製剤で懸念されるような問題は起こりにくいと考えられます。しかし、患者様ごとに状況は異なるため、個別の評価が重要です。
医科主治医と連携し、全身状態や骨の状態を総合的に評価した上で、最適な治療方針を検討します。多くの場合、適切な評価と管理により、良好な治療結果が期待できます。
治療タイミングの検討
テリパラチド製剤の投与期間は24ヶ月間という制限があるため、インプラント治療のタイミングについては計画的に考える必要があります。投与中、投与終了後、いずれのタイミングでも治療は可能ですが、医科主治医と相談しながら最適な時期を決定します。
エールデンタルクリニックでの対応
大泉学園のエールデンタルクリニックでは、骨形成促進薬を使用している患者様に対して、以下のような丁寧な対応を行っています。
初診時の詳しいご相談
現在使用中のお薬について詳しくお聞きし、テリパラチド製剤の使用期間や投与頻度を確認します。また、過去に他の骨粗鬆症治療薬を使用されていた場合は、その情報も大切ですので教えていただきます。
患者様のご不安や疑問に丁寧にお答えし、分かりやすく説明することを心がけています。
医科主治医との連携
骨粗鬆症の治療をされている医科の先生と連携を取り、患者様の全身状態を把握した上で、安心して治療を受けていただけるよう努めています。必要に応じて、医科主治医への情報提供や相談を行い、チーム医療で対応します。
個別の治療計画
患者様お一人おひとりの状況に応じて、CTスキャンによる骨の評価を行い、最適な治療計画を立案します。治療中は丁寧に経過を観察し、良好な治癒を確認しながら進めていきます。
患者様へお伝えしたいこと
練馬区大泉学園エールデンタルクリニックでは、テリパラチド製剤使用中の患者様に、以下の点を分かりやすくご説明しています。
お薬の違いについて
テリパラチド製剤は骨形成促進薬で、ビスホスホネート製剤とは異なる働きをするお薬です。「注射だから心配」と思われる方もいらっしゃいますが、薬の種類によって注意点は異なります。テリボンやフォルテオは、ビスホスホネート製剤とは違う特徴を持つお薬です。
現在のところ、テリパラチド製剤使用中の多くの患者様が、適切な管理のもとで歯科治療を受けられています。
一緒に考えていきましょう
インプラント治療を検討する際は、以下の点を患者様と一緒に考えていきます:
現在の骨の状態や全身の健康状態を総合的に評価します。医科主治医のご意見も参考にしながら、最適な治療時期を相談します。インプラント以外の治療法(ブリッジ、入れ歯)も含めて、患者様にとって最良の選択を一緒に検討します。
インプラント治療を成功させるために
骨形成促進薬を使用している患者様の治療を成功させるためには、総合的な健康管理が大切です。
口腔内の健康管理
インプラント治療の前に、お口の中の環境を整えることが重要です。歯周病や虫歯がある場合は、まずその治療を行います。日頃の歯磨きやお口のケアについても、丁寧にアドバイスさせていただきます。
全身の健康管理
骨粗鬆症以外にも、糖尿病や心疾患などがある場合は、それらの管理も大切です。禁煙や適度な運動、バランスの良い食事など、全身の健康を保つことが、インプラント治療の成功にもつながります。
定期的なメンテナンス
インプラント治療後は、3〜6ヶ月ごとの定期検診をお勧めしています。定期的なチェックとクリーニングにより、インプラントを長持ちさせることができます。ご自宅でのケア方法についても、しっかりとサポートいたします。
まとめ
骨形成促進薬(テリパラチド製剤)は、ビスホスホネート製剤とは異なる働きをする骨粗鬆症治療薬です。骨の代謝回転を抑制しないという特徴から、歯科治療において過度に心配する必要はありません。
ただし、患者様ごとに状況は異なるため、医科主治医と連携しながら、個別に適切な評価と対応を行うことが大切です。多くの場合、適切な管理により良好な治療結果が得られています。
練馬区大泉学園のエールデンタルクリニックでは、最新の学会指針を参考にしながら、患者様一人ひとりの状況に応じた丁寧な対応を心がけています。不安なことや分からないことがあれば、遠慮なくご相談ください。
テリボンやフォルテオを使用中でインプラント治療をご検討の方は、まずは医科主治医にもご相談いただき、その上で当院にもお気軽にご相談ください。患者様が安心して治療を受けられるよう、しっかりとサポートさせていただきます。
骨粗鬆症の治療を続けながら、お口の健康も守っていけるよう、一緒に最適な方法を見つけていきましょう。
参考文献
- 日本口腔外科学会薬剤関連顎骨壊死検討委員会. 薬剤関連顎骨壊死の病態と管理: 顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023. 日本口腔外科学会雑誌. 2023;69(4):別冊.
- Ruggiero SL, et al. American Association of Oral and Maxillofacial Surgeons’ Position Paper on Medication-Related Osteonecrosis of the Jaws – 2022 Update. J Oral Maxillofac Surg. 2022;80(5):920-943.
- 日本骨粗鬆症学会・日本骨代謝学会・日本整形外科学会・日本老年医学会・日本リウマチ学会. 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版. ライフサイエンス出版, 2015.
- 日本口腔インプラント学会. 口腔インプラント治療指針2020. 医歯薬出版, 2020.
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