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インプラント•オールオン4専門コラム

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インプラント治療における咬合の重要性

2025年08月07日 []

インプラント治療における咬合の重要性:オールオン4・オールオン6による全顎的な機能回復

はじめに:失われた咬合機能の回復

歯を失うということは、単に見た目の問題だけではありません。咬合(かみ合わせ)という、私たちが日常生活で無意識に行っている極めて重要な機能が失われることを意味します。特に多数歯欠損や無歯顎の患者様にとって、適切な咬合の回復は、食事、発音、顔貌の維持など、生活の質(QOL)に直結する重要な課題となります。

近年、インプラント治療の発展により、オールオン4(All-on-4)やオールオン6(All-on-6)といった革新的な治療法が確立され、全顎的な咬合再建が可能となりました。本記事では、インプラント治療における咬合の重要性と、これらの治療法がもたらす機能回復について詳しく解説いたします。

インプラントにおける咬合の特殊性

天然歯との違いを理解する

天然歯には歯根膜という組織が存在し、咬合力を感知して脳に伝達する役割を果たしています。この歯根膜は、わずか0.2mm程度の薄い組織ですが、咬合力の調整において極めて重要な働きをしています。一方、インプラントは骨と直接結合(オッセオインテグレーション)するため、この歯根膜が存在しません。

保母須弥也先生の研究によれば、インプラントの被圧変位量は天然歯の約1/10程度であり、この違いが咬合調整において重要な意味を持ちます。天然歯は垂直方向に25~100μm、水平方向に12~66μm動くのに対し、インプラントは垂直方向に3~5μm、水平方向に10~50μmしか動きません。この違いを考慮せずに咬合を付与すると、インプラントに過大な負荷がかかり、様々な問題を引き起こす可能性があります。

プログレッシブローディングの概念

インプラントの咬合を考える上で重要なのが、プログレッシブローディング(段階的荷重)という概念です。これは、インプラント埋入後、段階的に咬合力を加えていく方法で、骨とインプラントの結合を強化しながら、周囲骨のリモデリングを促進します。

初期固定が得られた直後から最終補綴物装着までの期間、暫間補綴物を用いて徐々に咬合力を増加させることで、インプラント周囲の骨質が改善し、長期的な安定性が向上します。特にオールオン4やオールオン6のような即時荷重を行う症例では、この概念が極めて重要となります。

オールオン4・オールオン6による咬合再建

治療コンセプトと咬合設計

オールオン4は、上顎または下顎の無歯顎に対して、わずか4本のインプラントで12本の連結した人工歯を支える画期的な治療法です。前歯部に2本、臼歯部に傾斜埋入した2本のインプラントを配置することで、カンチレバー(片持ち梁)を最小限に抑えながら、効率的な咬合支持を実現します。

オールオン6は、6本のインプラントを使用することで、より安定した咬合支持を得ることができます。特に上顎においては、骨質が下顎に比べて軟らかいため、6本のインプラントによる支持が推奨される場合があります。また、咬合力が強い患者様や、対合歯が天然歯または天然歯に近い状態の場合にも、オールオン6が選択されることがあります。

咬合平面の設定

全顎的なインプラント治療において、適切な咬合平面の設定は治療の成否を左右する重要な要素です。カンペル平面(鼻翼下縁と耳珠を結ぶ平面)を基準として、前歯部の審美性と臼歯部の機能性を両立させる咬合平面を決定します。

咬合平面が適切でない場合、以下のような問題が生じる可能性があります:

咬合様式の選択

インプラント支持の全顎補綴における咬合様式として、主に以下の3つが考慮されます:

1. 両側性平衡咬合(Bilateral Balanced Occlusion) 総義歯で用いられる咬合様式ですが、インプラント支持の固定性補綴物では必須ではありません。しかし、対合が総義歯の場合には、義歯の安定性を考慮してこの咬合様式を採用することがあります。

2. グループファンクション咬合(Group Function Occlusion) 側方運動時に作業側の複数の歯が接触する咬合様式で、咬合力を分散させることができます。インプラント補綴では、単独のインプラントへの側方力を避けるため、この咬合様式が選択されることが多くあります。

3. 犬歯誘導咬合(Canine Guidance) 側方運動時に犬歯のみが接触し、臼歯部を離開させる咬合様式です。犬歯部のインプラントが十分な骨支持を得ている場合に選択可能ですが、過度な側方力には注意が必要です。

咬合調整の実際とメインテナンス

精密な咬合調整の重要性

インプラント補綴物の咬合調整では、天然歯よりも繊細な調整が求められます。保母先生の提唱する「インプラントプロテクティブオクルージョン」の概念に基づき、以下の点に注意を払います:

咬合調整には、咬合紙だけでなく、T-スキャンなどのデジタル咬合分析システムを併用することで、より客観的で精密な調整が可能となります。これにより、咬合力の大きさ、バランス、タイミングを可視化し、理想的な咬合を付与することができます。

長期的な咬合の管理

インプラント治療後の咬合は、時間の経過とともに変化する可能性があります。対合歯の摩耗、残存天然歯の動揺や喪失、顎関節の変化などにより、初期に付与した咬合が変化することがあります。

定期的なメインテナンスでは、以下の項目をチェックします:

特にオールオン4やオールオン6のような全顎的な補綴物では、わずかな咬合の変化が大きな影響を及ぼす可能性があるため、3~6ヶ月ごとの定期的なチェックが推奨されます。

咬合再建がもたらす全身への影響

咀嚼機能の回復と栄養状態の改善

適切な咬合の回復により、咀嚼効率が劇的に改善します。これにより、食事の選択肢が広がり、栄養バランスの改善につながります。特に高齢者においては、十分な咀嚼機能の回復が、タンパク質やビタミン、ミネラルの摂取量増加に寄与し、全身の健康維持に重要な役割を果たします。

姿勢と全身のバランス

咬合は、頭頸部の筋肉を介して全身の姿勢にも影響を与えます。適切な咬合高径と咬合平面の回復により、頭位が安定し、頸椎への負担が軽減されます。これにより、肩こりや頭痛などの不定愁訴が改善することも報告されています。

まとめ:質の高い咬合再建を目指して

インプラント治療、特にオールオン4やオールオン6による全顎的な治療において、咬合の概念は治療の成功に不可欠な要素です。天然歯とは異なるインプラントの生体力学的特性を理解し、適切な咬合設計と精密な調整を行うことで、長期的に安定した機能回復が可能となります。

保母須弥也先生をはじめとする多くの研究者の功績により、インプラントの咬合に関する理解は飛躍的に深まりました。これらの知見を臨床に活かし、患者様一人ひとりの状況に応じた最適な咬合を付与することが、我々歯科医師の使命です。

練馬区大泉学園で、インプラント治療をご検討の方は、咬合の重要性を十分に理解した上で、信頼できる歯科医院での治療をお勧めいたします。適切な咬合再建により、単に歯を補うだけでなく、生活の質の向上、全身の健康維持にもつながる、真の機能回復を実現することができるのです。


参考文献


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