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お歯黒は現代のむし歯予防の前身?!

2023年05月27日 [スタッフブログ]

イカ墨パスタを食べた時に、お歯黒になってると言われたことはありませんか?

今回は、今では廃れてしまったお歯黒についてお話ししたいと思います。

一見すると、歯の健康とは関係がないように思えるお歯黒ですが、実は歯に効果的だったことをご存じでしょうか。

当時の人々は知らないうちに、最先端のむし歯予防をおこなっていたというので驚きです。

 

お歯黒は日本独自の文化ですが、当時の人々はその見た目を美しいと感じていました。

しかし、白い歯を魅力的に感じる現代人の私たちからすると、真逆のことをしているため、歯を黒くしていたことは疑問に感じることかと思います。

お歯黒は今でいうメイクの一つで、読んで字のごとく歯を黒くする文化のことです。

 

このお歯黒の起源に関しては色々と言われていますが、古来からあったと言われています。

私は平安時代から発展したというイメージを持っていましたが、それよりも前の時代からお歯黒は流行していて、平安時代後にもお歯黒という文化は続いていたそうです。

お歯黒は、主に既婚女性が行っていたということが多いようですが、黒という色は何色にも染めることができない色になるため、他の男性には目を向けないという意味を込めていたようですね。

この時代は女性の地位があまり高くなかったこともあり、貞節あることが大切なポイントだったのでしょう。

まだ歯科衛生が十分に進歩していなかった時代だったので、お歯黒によって歯並びや変色を隠すことができたのかもしれません。

さらに、その染料が口腔内の悪臭・虫歯・歯周病に予防効果を持ち、口腔の美容と健康の維持につながっていたからか、実際に、お墓から掘り起こされたお歯黒をしていた歯には、むし歯がほとんどなかったとのこと。

また、むし歯が始まってから結婚してお歯黒を付け始めたと思われる女性においては、そのままむし歯の進行がとまっていたそうです。

 

⭕️虫歯予防に効果的な成分がお歯黒の材料に含まれている

お歯黒水の材料となる「ヌルデ」はタンニンを豊富に含みますが、タンニンには歯茎を収縮させ、細菌から守ってくれる作用があります。

そしてタンニン酸第二鉄には、歯の表面を緻密な膜で覆って、歯そのものを保護する働きがあります。

タンニンと結合する前の第一鉄には、歯のリン酸カルシウムに作用し、虫歯菌の作り出す酸への抵抗力を高める作用があるのです。

現代人からすると少し違和感のあるスタイルですが、お歯黒は当時の人々の歯を守っていてくれたのですね。

また、今の虫歯予防法ではフッ素を塗布することが主流ですが、それに近い方法を昔から行っていたことがわかります。

 

⭕️お歯黒は汚れが付いていると綺麗に色づかず、ツヤが出てこない

虫歯予防には、お歯黒のツヤも貢献していて、お歯黒をしている人は歯がツヤツヤしていたようです。

お歯黒にするために歯を黒くする場合、汚れや食べかすが付着したままだと、上手く染色できません。

そこで、楊枝の先を細かく割いた房楊枝という、いわゆる歯ブラシのようなもので歯の汚れを入念に取り除いていました。

今でいうホワイトニングの前に、歯をきれいに磨くのと似ていますよね。

歯の汚れには、食べかすだけでなく、歯の表面についているプラークが含まれています。

プラークは菌の温床なので、虫歯や歯周病の原因になります。

当時の人々はお歯黒をする際、歯をきれいにしていたため、これが虫歯や歯周病の予防につながっていたのではないでしょうか。

 

お歯黒による歯の健康効果は今でも注目されていて、日本歯科医師会の情報としても取り上げられ、お歯黒の有効成分に着目した詰めものや被せもののセメントなどが開発されています。

時代と共にお歯黒の文化は薄れてしまいましたが、現代でも虫歯予防の一つとして、お歯黒が他の方法で予防に活かされているのですね。

昔の人の知恵が、論理的にも虫歯予防に効果的だったとはびっくりですね!

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